クーリングオフ解約してnetが厳選する重要事例集

認定司法書士峯弘樹事務所の『クーリングオフしてnet』が重要事例集をご案内いたします。


法定の事項が記載された書面が交付されない限り、訪問販売のクーリングオフ期間は進行しない!!

京都地方裁判所 平成17年5月25日 判決

 

事案の概要

被告は,以下のとおり,原告に対し,政令に定める指定商品の販売ないし有償役務の提供を原告宅において行った。

ア 平成16年7月17日,被告は原告に対し,金5250円で水道の洗浄作業を行うことを約し,被告は洗浄作業を行った。

イ 同日,被告は原告に対し,磁気機能付セラミック活水装置A-400型の売買及び取付工事を金47万2500円で約した。

同月20日,被告従業員らは原告宅でA-400の取付工事を行った。

ウ 同月20日,被告は原告に対し,浄水器アクアドリームの売買及び取付工事を金36万7500円で約した。

同月21日,被告従業員らは原告宅でアクアドリームの取付工事を行っ

た。

エ 同月21日,被告は原告に対し,高性能磁化装置マグネドリームの売買及び取付工事を金31万5000円で約した。

同月23日,原告宅でマグネドリームの取付工事を行った。

オ 同月23日,被告は原告に対し,床下換気工事等を金71万4000円で約した。

原告は,本件契約1に基づき,同月17日,被告に対して5250円を,本件契約2ないし4に基づき,同月23日,被告に対して計115万5000円,合計116万0250円を支払った。

本件契約1ないし5に際し,被告は,原告に対し,申込書面兼契約書面の交付を行っているものの,その記載事項には重大な誤りないし不備・欠落があった。

 

判決の要旨

被告が原告に交付した水道管洗浄作業請負契約書及び工事請負契約書は,法5条2項,1項1号,4条1号,2号,4号,5号に定める記載事項に不備があることが認められる。

そうすると,旧法9条1項に基づく解除の期間は進行していないから,原告の行った解除は有効である。

書面が交付されても不備があれば、退会後でも結婚相手紹介サービス契約をクーリングオフすることができる!!

東京高等裁判所 平成22年9月22日 判決

 

事案の概要

原告は入会当時51歳の男性会社員であった。被告は、結婚相談業および結婚仲介業等を業としている事業者である。

原告は、被告の事務所において、ウエディング情報閲覧・お見合い・交際・結婚アドバイス、紹介対象は日本人女性という条件で、登録期間1年、入会金約35万円、月会費8,000円の結婚相手紹介サービス契約を締結した。

被告のシステムは、インターネットを用いて登録会員から結婚相手を検索できるシステムであり、原告は自宅のパソコンで結婚相手を探していた。

入会1カ月を経過した頃、被告から、中国人女性との国際結婚を勧められ、上海でのお見合いツアーに参加するよう勧められた。

原告は、お見合いツアーに参加することとし、ツアー料金約15万円を支払って参加した。

帰国後、原告はお見合いツアーで知り合った中国人女性との結婚誓約書に署名した。原告は被告に対し、その中国人女性と上海で結婚式を挙げるための結婚式料、成婚ツアー料として約300万円を支払った。

しかしその後、原告は婚約を撤回し、それを理由に、被告に対し結婚式料、成婚ツアー料の返還を請求したが、拒否された。

原告は、被告に対し、契約から約半年後、本件は特商法の特定継続的役務提供に該当するが、交付書面に同法が定める契約書面の記載事項のうちクーリング・オフに関する事項、役務提供期間、中途解約に関する事項、清算方法などの記載がないことから、クーリング・オフする旨を通知し、既払金全額の返還を求めた。原審は、原告の請求を一部棄却したため、原告が控訴した。

 

判決の要旨

仮に原告が退会していたとしても、本件契約においては「書面不備」等が認められクーリング・オフ期間は経過していない。その場合、クーリング・オフの制度は、事業者の相手方を、契約の拘束から開放するにとどまらず、相手方に既払金の返還を確保するなどその保護を図るものであることを考慮すると、クーリング・オフの権利行使を契約終了時までと限定することは相当でない。

このことから、たとえ原告が被告の会員を退会した後であっても、クーリング・オフをすることができるというべきである。

被告は、本件婚約が成立した後の解除権行使は、信義則上許されず、権利濫用として認められない旨主張するが、本件婚約の成立は現に認められないし、その他、本件において、原告の本件契約の解除権行使が信義則に反していたり、権利濫用に当たるとすべき事情を認める証拠はない。

峯弘樹事務所のクーリングオフしてnetが重視する重要判例集はこれだ。
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